9月を迎えて:ひとつの節目
更新日:2 日前
9月を迎えました。
このたび、9月1日付で北海道大学大学院保健科学研究院の教授へと昇任しました。
あまり大仰な所信表明をするつもりはありませんが、私にとって節目となりますので、これまでの歩みをすこし振り返り、お世話になった方々への感謝を記しておきたいと思います。
私が放射線研究を志す原点となったのは、2011年の東日本大震災・福島第一原子力発電所事故後、福島県の公立相馬総合病院で被災地医療に従事した経験でした。
地域の方々が抱える放射線への不安や、医療の現場で容易に答えを出すことのできない問題と向き合う中で、放射線による健康影響を自分自身の研究課題として追究したいと考えるようになりました。
その後、東北大学病院で放射線科医としてトレーニングを受け、英国北アイルランドのクイーンズ大学ベルファストで放射線生物学を学びました。帰国後はまず湘南鎌倉総合病院で臨床と研究に携わり、次に東北大学へ戻って南三陸や女川をはじめとする被災地域との関わりを持ち、そして北海道大学へ移りました。
振り返れば、いろいろな場所を移りながら歩んできました。しかし、それぞれの土地で得た経験と出会いは決して分断されたものではなく、今の私の研究へと、一つの線のようにつながっているように思います。
自分の力だけでここまで歩いてきたというよりも、行く先々で多くの方々に次の道を示していただいた、というのが正直なところです。
患者さんや地域の皆様をはじめ、これまでご指導くださった先生方、ともに働いた医療スタッフ、共同研究者、学生、そして研究や生活を支えてくれた家族や友人には、数え切れないほど助けていただきました。思うようにいかない時期にも、助言をくださった方、機会を与えてくださった方、そして温かく見守ってくださった方がいました。
お一人おひとりのお名前をここで挙げることはできませんが、今日まで研究を続けてこられたのは、皆様のお力添えがあったからです。
あらためて、心より感謝申し上げます。
立場が変わったからといって、研究者としての仕事が突然変わるわけではありません。むしろ、これまで多くの方々から受け取ってきたものを自分の中に留めるのではなく、次の世代へ渡していく責任は、これまで以上に重くなったと感じています。
福島で抱いた問いを忘れず、放射線による健康影響を明らかにし、その知見を医療と社会へ還元するための研究を、これからも地道に続けていきたいと思います。また、若い人たちが研究の面白さに触れ、それぞれの道を切り拓いていけるような環境をつくることにも、微力を尽くしたいと考えています。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
(文責:福永)

.png)




コメント