10月を迎えて:研究の現在地
更新日:10月11日
10月を迎えました。今年度も半年が過ぎ、2026年も残り3か月となりました。
9月30日に英国のTimes Higher Education(THE)による世界大学ランキング2027が公表されました。東京大学は27位、京都大学は同率62位、本学は残念ながら376~400位のグループとなり、国内では8番目となる順位でした。
今回の結果では、清華大学が11位、北京大学が13位、シンガポール国立大学が15位となり、初めてアジアの3大学が上位15位に入りました。こうした動きを見ると、世界の大学の中で日本の大学がどのような位置にあるのか、あらためて考えさせられます。長い歴史や過去の実績を持つ大学であっても、これからの評価は現在進めている仕事にかかっているのでしょう。
THEのランキングは、教育、研究環境、研究の質、国際性、産業との関わりなど、複数の指標を組み合わせて算出されています。評価の仕組みを理解し、自分たちの強みや課題を確かめることには意味があります。一方、大学全体の順位から、個々の研究室の仕事や、学生がそこで何を学んでいるかまで読み取ることは難しいとも思います。
私自身が気になるのは、そうした評価を受けて、これから本学がどのように研究と教育の環境を整えていくかということです。
良い研究を続けるためには、研究費や設備に加え、実験や解析を支える人材、共同研究の機会、そして研究者が考えるための時間が必要です。若い人たちが腰を据えて学び、試行錯誤できる環境も欠かせません。研究には、始めてみなければ分からないことや、成果が出るまでに長い時間を要することがあります。そのような仕事を続けられる余地を、大学には大切にしてほしいと思います。
もちろん、私自身も、所属大学の評価を外から眺めているだけではいられません。自分たちの研究が、世界の研究者にとって参照する価値のある知見を示せているか。学生にとって、ここで学ぶことにどのような意味があるか。研究室を預かる立場として、まずは自分の仕事を振り返る必要があります。
最近、当研究室のホームページをすこし見直し、新しく「Research」のページを設けました。研究室として取り組んでいるテーマと、これから何を明らかにしたいのかを、あらためて整理する機会になりました。
研究の紹介を書くのは、案外難しいものです。実験の方法や発表した論文を並べることはできます。しかし、それらを通じて、私たちはどのような問いに答えようとしているのか。そのことを短い言葉で伝えようとすると、なかなか筆が進みませんでした。
当研究室では、放射線の線量分布が生殖機能の障害や回復にどう関わるのか、受胎前の被ばくが次世代のミトコンドリアゲノム制御にどのような影響を及ぼすのか、といった問題に取り組んでいます。また、こうした生物学的な知見を、医療や放射線防護にどう結びつけていくかも、重要な課題です。
それぞれに異なる方法や視点を必要とする研究ですが、放射線による健康影響を理解したいという、私自身が研究を始めた頃からの問いにつながっています。
いま進めている研究についても、得られたデータをどのように解釈し、どのような形で論文として示すかを考えているところです。結果が見えてきたときほど、その結果からどこまで言えるのかを、丁寧に見極める必要があります。共同研究者の方々とも議論しながら、次の成果につなげていきたいと思います。
ホームページの更新という小さな作業でしたが、自分たちの研究の現在地を考える、よい機会になりました。数年後にこのページを読み返したとき、ここに掲げた問いにどれだけ答えられているでしょうか。
今月も、ひとつひとつの課題に向き合っていきたいと思います。
(文責:福永)

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