2025年ノーベル賞
- hisanorifukunaga
- 2 日前
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2025年のノーベル賞の自然科学部門では、生理学・医学賞を坂口志文教授、化学賞を北川進教授が受賞することになり、日本人研究者の活躍に注目が集まりました。ちなみにお二人とも京都大学出身ということで、京大の底力を見せつけられたような気がしています。
ただ、個人的には、今回の受賞はとても意外でした。
まず、坂口先生はクラフォード賞を過去に受賞されていたので、ノーベル賞を受賞する可能性があるとは思っていませんでした。クラフォード賞もスウェーデンで選考される国際学術賞なのですが、ノーベル賞とはある程度の棲み分けがあるのだろうと考えていたのは私だけでないはずです。過去にクラフォード賞とノーベル賞を両方受賞された例はほとんどないのではないかと思いますし、もちろん日本人研究者として初めてのはずです。そういう意味でも、今回のノーベル生理学・医学賞の受賞は偉業かもしれません。
制御性T細胞の発見と聞くと、日本の免疫学の大家だった多田富雄先生が提唱した「抑制性T細胞」(後に存在しないことが判明)を思い出します。私が学生だった頃は、まだ、制御性T細胞ではなく抑制性T細胞が載っていた書籍がありました。今回の受賞で、科学の進歩を改めて感じさせられています。
次に、化学賞についてですが、私は米国カリフォルニア大学バークレー校のOmar M. Yaghi教授が受賞する可能性はかなり高いと、もともと聞いていました。そして、共同受賞するとしたら、東京大学の藤田誠教授なのではないかと思っていました。正直、北川先生が受賞されるのは想像していませんでした。
Omar Yaghi先生は「化学界の巨人」みたいな方らしいので、今回の受賞理由である「多孔性金属錯体」でも、藤田先生とウルフ賞を共同受賞された自己組織化に関する研究でも、いずれにせよ早晩ノーベル賞を受賞されることになったでしょう。
MOF(有機金属構成体)に関する論文は、たしかにNatureやScienceなどの有名ジャーナルに繰り返し掲載されてきました。北川研から出た論文を何度か目にしたこともありました。しかし、私のような専門外の人間には、いつも要旨すら理解不能でした。残念ながら、有機化学と無機化学を大学ですこし勉強した程度では、トップレベルの論文の内容はなかなか判らないのですね。自身の浅学を恥じています。
今回、テレビ報道などを見て、その有用性などをようやく少し理解することができました。人類への貢献が顕著な素晴らしい業績ですね。
私も、最近、ノーベル賞のような有名なものではありませんが、国際的な学術賞を受賞することが決まり、驚くとともに「自分のような未熟者が頂いてよいのだろうか」と緊張しています。
受賞するために日々研究しているわけではありませんが、やはり研究にはどうしても苦労が多く、ときに辛い思いをすることもありますから、たまには褒めてもらえると嬉しく思れるのはたしかです。そういう意味で、ノーベル賞などの学術賞・表彰には、研究などに使用できる賞金以外にも、やはり相応の意義があると感じます。
坂口先生、北川先生、おめでとうございます。
(文責:福永)

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